実は私、映画観賞が好きなんです。

せっかく発信の場を作ったので、映画のレビューも書き残してみようかと思います。


   

戦時中の日常


昨年【この世界の片隅に】という映画を観ました。

TVなどでも話題作として取り上げられていたのでご存知の方も多いかと思います。

ただ上映館数は少なく、この辺りだとキャナルシティ博多が最寄りです。


戦時中の広島・呉を舞台にしたこの物語。

『単純な感動じゃなく、感情を揺さぶられるような映画になっている。』

と聞いてどうしても観たくなり博多へ。


戦時中のお話って、悲愴感を前面に打ち出してくることが多いですよね。

でもこの物語はその時代を生きた人のごくごく『普通』の生活を描いています。

だからこそ、今を生きる私たちの『普通』と彼女たちの『普通』がいかに違うのかを見つめることができます。

戦時中の日常を描いた物語なのです。



細やかな時代考証


物語は昭和8年12月(原作では9年1月)からスタート。

日中戦争、そして第二次世界大戦の少し前の日本。


冒頭の主人公すずがまちに出かけるシーンでは煌びやかなまちが映し出されました。

その中にちらっと映る原爆ドームがこれからの展開を思わせ、胸がぎゅっとなります。
       
   
この作品、原作者であるこうの史代さんも、映画監督の片渕須直さんも、驚くほど細やかに時代考証した上で作られています。

背景、小道具、衣装、どれもが非常に細かく描かれていました。

それ故にシンプルな絵柄でありながらぐっと惹きつけられる世界観があるのでしょう。



       

もう二度と


ほんわかしたすずの幼少期を描き終わると、舞台は昭和18年に。

終戦の2年前ですね。


すずは広島市から呉へと嫁ぎ、主婦の目線で当時の暮らしが語られていきます。

少しずつ時が流れて行くにつれて、日本が貧しくなっていく様子も丁寧に丁寧に描かれていました。

食糧が減りゆく中で、すずたち主婦らは試行錯誤して食卓を彩ります。


今ではとても考えられないような貧しい暮らし。

でもそれが、彼女たちの日常。


柔らかなすずのキャラクター、絶妙に笑いを入れて作られたストーリーに心和みながらも『もう二度とこんな時代を繰り返してはいけない』と強く思わせられました。



頭から離れない一言


悪化する戦況と共に物語は終盤へ近付いていきます。

大切なものを幾つも失い、居場所も、その愛らしい笑顔さえも失っていくすず。

歪んでいく感情と必死で向き合いながらも生き続け、ようやく終戦を迎えます。


昭和20年8月15日。


ラジオから流れた詔勅を聞いたすずが放った言葉は私の予想したものと真逆のものでした。

その一言がずっと頭から離れません。


あの時代を生き抜いたすずだからこその言葉。


この物語がいかに『すず』を大切に描いてきたかが、その一言に表れているように思えました。



本当に知るべき姿


これまで戦争について教わってきたこと、学んできたこと、見せられてきたこと、そのどれよりもこの物語が一番胸に響きました。

想像力だけでは補完できない多くのことが描かれていたからでしょうか。


戦争を生の声で語り継げる人がいなくなる時代がもうすぐそこまできている今。

そんな今を生きる私たちが本当に知るべき姿が、この物語に詰まっているように思います。


大牟田で上映されていないのが本当に残念ですが、まだご覧になっていない方、ぜひ一度観て頂きたいです。


私としては映画を観てから原作を読むのがオススメです!

ぜひ!





原作は上中下の3冊で出版されています。